磐越西線喜多方―山都間、4月1日全線再開 22年8月大雨で不通

会津北部を中心とした昨年8月の記録的大雨で不通が続いているJR磐越西線喜多方―山都間(9.9キロ)について、JR東日本は22日、運転再開を4月1日にすると正式発表した。8カ月ぶりに全線再開する。
JR東は現在、崩れた濁川橋梁(きょうりょう)(喜多方市)の橋脚を替える作業を行っており、終了次第、橋桁を架け、線路や信号通信の工事、試運転などを経て運転を再開する。喜多方―野沢間を走っている代行バスは3月31日で終了する。1日の運行本数は被災前と変わらないが、喜多方―野沢間でワンマン運転を開始する。
再開時期を巡っては、地元などから早期の運転再開を求める声があり、JR東は通学利用も考慮し、新学期前の再開を見据えて検討してきたという。
JR東によると、被災した磐越西線全体の復旧費用は昨秋時点で約15億円を見込む。鉄道軌道整備法に基づき、国などが一部を補助できるが、福島駅で記者会見した東北本部の中山弥須夫企画部長は「国や福島、新潟両県と調整している」と述べた。
通学利用高校生「やっと日常に」
不通が続いていたJR磐越西線喜多方―山都間の運行再開が4月1日に決まったことを受け、利用者や地元の商工業者は「ずっと待ち望んでいた。入学式や桜の開花に間に合って良かった」と喜びを口にした。
「私が卒業するまで、再開通が間に合わないのかと思っていた」。通学で喜多方―山都間を利用していた耶麻農高2年の飯塚妃菜(ひな)さん(17)は再開日が決まったことに、安堵(あんど)の表情をにじませた。現在は代行バスで通学しており、待ち時間が最大3時間かかることもあった。家族とも「やっと日常に戻ることができる」と喜んだという。
長女が新潟県阿賀町から同校に通う会社員の石井智子さん(42)も「今年は雪が多く、送迎も大変だった。再開日が決まって良かった」と喜ぶ。長女の通学には東下条(新潟県)―山都間を利用していたが、喜多方―山都間が不通になったことで、野沢―山都間の代行バスを利用している。同区間では、臨時ダイヤによる列車の運行も再開したが、長女の通学時間とは合わず利用できていないという。石井さんは運行再開で「早く普段の生活に戻ることが待ち遠しい」と語った。
喜多方駅近くで土産物などを販売する甲斐商店の甲斐修一さん(68)は「新型コロナウイルスの波も収まってきている。再開通も決まり、追い風が吹いてきた」と話した。甲斐さんは「商工会議所を通して、桜の開花や高校の入学式に間に合うように要望してきた。被災から8カ月で再開通となることに感謝したい」と語った。
知事「安心につながる」
運転再開日の決定を受け、内堀雅雄知事は「新学期や春の行楽シーズンに間に合うよう、再開時期が示されたことは、沿線地域の皆さんの大きな安心につながる」とのコメントを発表した。