空き校舎ある地域を活性化...統合高生「探究活動」で魅力発信

県教委は新年度、県立高校改革で空き校舎となった学校のある地域で、統合校の生徒による「地域課題探究活動」を繰り広げる。学校がなくなり、活気やにぎわいが失われるとの懸念が地元では根強い。統合校の生徒が地域の活性化や魅力の向上と発信に取り組むことで、地域に愛着を持った人材の育成にもつなげたい考えだ。
県教委によると、県立高校改革の前期実施計画(2019~23年度)では、全日制と定時制合わせて25校が統合・再編の対象となる。このうち喜多方東、坂下、長沼の3校は統合により既に空き校舎となっており、統合後2年間は二つの校舎を使用する「校舎方式」を採用している7校が24年度末までに空き校舎となる見込み。
探究活動では、地元住民との交流などを通して地域の魅力や課題を見つけ、動画やホームページ、交流サイト(SNS)を活用した発信や、自治体と連携した解決などを図っていく。発表会も検討しており、地元の中学生や住民を招いて活動の成果を伝え、生徒の情報発信力やコミュニケーション能力の育成、次世代への継承にも生かす考えだ。
空き校舎とはなっていないが、統合した小名浜といわき海星、福島中央・定時制と保原・定時制の周辺地域も探究活動の対象地域に加える。県教委は「地域のにぎわいだけでなく、将来地元に戻るきっかけづくりにしたい」(県立高校改革室)としている。
県立高校改革で生じる空き校舎を巡り、県は新年度、喜多方東、坂下、長沼に加え、閉校した安積御舘、修明鮫川の5校を含む16校が立地する市町村に対し、校舎や土地を利活用する際の支援を実施する。校舎や土地を市町村に無償譲渡するための条例制定や解体費用の負担、市町村の利活用に向けた補助制度を創設する方針で、県と県教委がハード、ソフト両面から空き校舎が生じた地域をサポートする。