有機農業の産地形成推進 二本松、生産から消費まで一貫体制構築

 

 二本松市は有機農業の産地づくりに向け、新年度から5年間の実施計画を県内市町村で初めて策定した。生産から消費まで一貫した地域ぐるみの推進体制を確立し、生産者や作付面積の拡大などを目指す。三保恵一市長が25日、「オーガニックビレッジ」を宣言し、取り組みに着手する。

 同市では1978(昭和53)年に二本松有機農業研究会が設立され、各地で一部の農業者が有機農業を手がける。現在は30人が計26・6ヘクタールで生産し、中通りでも普及が進んでいる。

 こうした素地に着目して市は昨年6月、生産者や事業者、関係団体と市循環型農業推進協議会を設立し、産地づくりの可能性などを協議。1月に実施計画を作り▽自然と共生し、里山を生かす農業の普及▽学校給食への活用▽生産者、消費者、事業者の交流と理解の促進などに取り組むことで合意した。

 計画では、講座による農業者の育成をはじめ、マルシェ開催による消費者への理解促進、民間事業者への生産物提供、給食活用などを明記。流通や販売力を高めるため有機JAS認証も推進する。同協議会がJAや消費者団体などと連携する体制と、参加団体・機関の役割も示した。新年度は検討や試行などを進め、2024年度から本格化させる方針。5年後の指標は【表】の通り。27年度には本年度に比べ、生産者20人増、作付面積5・1ヘクタール増を目指す。

 これらの取り組みで市は、本来なら捨てられる家庭や畜産業の廃棄物などを肥料に活用し、資源として循環させる「循環型農業」を確立させたい考え。石井栄作産業部長は「減化学肥料や減農薬に取り組む農業者も増えるはず。安全な食材を生産する産地を二本松の特色にしたい」と話した。

 構成団体次の通り。

 二本松有機農業研究会、NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会、ふくしま東和有機農業研究会、オーガニックふくしま安達、あだたら食農Schoolfarm、福島大、二本松ご当地エネルギーをみんなで考える株式会社、あぶくまの里農ganic女子、あだたら産直センター、デイリーサービス、いちい、県安達農業普及所、二本松市

 あす記念のマルシェ

 二本松市循環型農業推進協議会は25日午前10時~午後2時、有機農業の産地づくりに向けた「オーガニックビレッジ」宣言を記念し、同市の安達公民館でマルシェを開く。

 同協議会の参加団体などが出店。有機農業や減農薬で栽培された同市産の野菜や果物、有機食材を加工した飲食物などを販売する。子どもも楽しめるワークショップも開かれる。

 問い合わせは市農業振興課(電話0243・55・5116)へ。

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 オーガニックビレッジ

 農業者だけでなく事業者や地域内外の住民を巻き込み、有機農業の生産から消費まで一貫した取り組みを進める市町村。みどりの食料システム戦略を踏まえ、農林水産省が産地づくりに取り組む市町村を先進的なモデル地区として支援する。