被災時に高齢、障害者施設に職員を相互派遣へ 福島県が体制整備
県は新年度、大規模災害で被災した高齢者施設と障害者施設に、被災地外の施設から職員を派遣できる仕組みづくりに着手する方針を固めた。災害が激甚化、頻発化する中、施設相互で支援できるようにすることで、被災時でも利用者に必要なサービスを維持できる体制の構築を目指す。
大規模災害では、施設自体や職員が被災する可能性が高い。その場合、障害者、高齢者施設ともに通常通りの施設運営が困難となるため、災害の発生に備えて職員を派遣できる仕組みを構築する。現状では同じ法人内で応援職員を配置するなどの対応にとどまっており、制度化することで円滑で広範囲な職員の派遣につなげたい考えだ。2023年度当初予算案に、関連事業費として600万円を計上している。
高齢者施設については、新型コロナウイルスの感染拡大後、クラスター(感染者集団)などが発生した場合、別の施設から応援職員を派遣できる体制を取っている。県はこの仕組みを大規模災害時でも使えるよう、関係団体と調整する。
県によると、新年度はまず、県老人福祉施設協議会に委託し、施設間で協定を結ぶ方針。職員の相互派遣のほか、避難をする際に配慮が必要な人を受け入れる福祉避難所となった施設への職員派遣についても検討する。県は「協力してもらえる施設の意思形成や専門家による勉強会などを通じて円滑な制度運用につなげたい」(高齢福祉課)としている。
一方、障害者施設も新型コロナ禍を受け同様の仕組みを構築しているが、職員派遣まで進んでいない。さらに、各施設をまとめられる団体がないため、災害時の仕組みを構築するのに当たり、新年度に各施設の実態調査を行う考えだ。
障害者施設は通所型や入所型、居宅訪問型など多岐にわたる。連携が広範囲になると、普段は交流のない施設同士での職員派遣となる。このため、県障がい福祉課は「実態調査で施設のニーズを把握する必要がある」とした。