内堀知事、拠点外への帰還「対応強化を」 「面的」環境整備も要望

 

 内堀雅雄知事は25日、政府が福島市で開いた「原子力災害からの福島復興再生協議会」で、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)以外への住民帰還に向けた対応の強化を求めた。政府は拠点外に新設する「特定帰還居住区域」の法制化を進め、今後住民帰還などの動きが加速するとみられる。一方で除染範囲や帰還しない人の土地、家屋の扱いなどは方向性が示されず、内堀知事は早期の明示を訴えた。

 政府は「特定帰還居住区域」の新設を盛り込んだ福島復興再生特別措置法の改正案を今国会に提出、協議会では改正法が成立すれば速やかに必要な範囲の除染を進めると説明。渡辺博道復興相は「希望者全員が一日も早く古里に戻れるよう努力する」と述べた。

 内堀知事は終了後、報道陣に「帰還困難区域面積の9割を占める復興拠点以外の方向性が示されたことは重要な前進だ」と強調。拠点外の取り組みを進める上で、先行して生活環境を整備している復興拠点との連動を意識するなど、帰還した住民が安心して暮らすために「面的」な環境整備を進める必要があるとした。

 一方、来月で震災から丸12年となる中、除染の範囲や帰還しない人の土地、家屋の取り扱いについて明確な方向性が示されず、内堀知事は「古里に帰るスキーム(枠組み)がまだ明確でないという状況が続くのでは希望を持ってもらえない」と述べ、早期に方向性を示すよう要請を続ける考えを示した。

 協議会で内堀知事が政府に要請した主な事項は【表】の通り。復興拠点外の対応のほか、政府が4月に設立する福島国際研究教育機構の効果の広域波及や原発処理水の海洋放出を巡る万全な風評対策、第2期復興・創生期間以降の財源の確保などを働きかけた。

 協議会は冒頭を除き非公開。政府から西村康稔経済産業相、西村明宏環境相、野村哲郎農相らも出席した。