脱炭素実現にスピード感を いわきでシンポ、地域一体の仕組みが鍵

世界的な気候変動対策が課題となる中で、温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の実現について考えるシンポジウムが25日、いわき市で開かれた。パネル討論で、東洋システム(同市)社長の庄司秀樹氏はスピード感のある脱炭素化の必要性を訴え、企業や行政、市民、学生ら地域が一体となった議論や実証の仕組みづくりを実現の鍵に挙げた。
シンポジウムは、東洋システムと福島高専がカーボンニュートラル社会を先導する人材を育成しようと開講した連携講座の一環。庄司氏は新年度以降も協力企業を募って講座を拡大していく考えを示し「地元企業が集い、学生も議論に参画し、技術を高専などで実証する仕組みをつくりたい」と述べた。
パネル討論は「エネルギーをとりまく『変化』と課題」をテーマに行われ、古河電池(横浜市)執行役員・いわき事業所長の新妻郁浩氏、福島高専校長の山下治氏も登壇。愛知工大総合技術研究所の近藤元博教授・博士が進行役を務めた。
新妻氏はカーボンニュートラルを地球規模の問題として「価値観の違う世代が総ぐるみで活動できるように知恵を出し合いたい」と語り、地域住民が危機意識を持って参画する重要性を挙げた。
山下氏は若者の定住に、魅力的な産業の必要性を強調。政府が4月に設立する福島国際研究教育機構と福島高専が進める連携について「企業や地元の人も参画して地域課題を解決する姿を目指したい」と提言した。
パネル討論に先立ち、NHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサーの堅達(げんだつ)京子氏が「カーボンニュートラルの実現に向けて」と題し基調講演した。
福島民友新聞社から中川俊哉社長が出席した。