柔軟な発想で担い手育成へ 民俗芸能継承シンポ、若手らが討論

 
民俗芸能の継承の在り方について意見を交わしたパネル討論

 県とNPO法人民俗芸能を継承するふくしまの会は26日、二本松市で民俗芸能の継承に向けたシンポジウムを開いた。東京電力福島第1原発事故の影響で担い手確保に課題を抱えながら伝統継承に取り組む保存会員らが、継承の在り方について意見を交わした。

 「若者たちが見つめる民俗芸能」をテーマにパネル討論が行われた。田植え踊りを継承する請戸芸能保存会(浪江町)の佐々木繁子会長と南津島郷土芸術保存会(同)の三瓶専次郎会長、同NPOの懸田弘訓理事長、各保存会の若手会員らが登壇した。

 三瓶氏は震災後、男性のみだった踊り手に、女性の加入を認めたり、昨年から東北学院大歴史学科と連携して学生を迎えたりしてきた活動の経過を紹介。「若い人たちに継承することで、いつか津島に戻って披露できるかもしれないと思って取り組んでいる」と語った。

 他地域からも踊り手を受け入れている佐々木氏は「請戸の人だけではつないでいけないため、踊りが好きな人に声をかけて受け入れている。受け入れ側も器を大きく広げることが重要だ」と強調した。

 懸田氏は「昔ながらの習わしを固く引き継ぐのが伝統ではない。震災で継承が難しい状況の中、本来の姿を追求し、芸能がなくなったら元も子もない」と指摘。会員の理解を得ながら、習わしにとらわれず、継承する必要性を語った。

 「田植踊」実演

 実演も行われ、浪江町出身で南津島郷土芸術保存会の今野実永(みのぶ)さん(東北学院大2年)ら同大の学生による「南津島の田植踊(たうえおどり)」と、請戸芸能保存会による「請戸の田植踊」が披露された。