被害の77歳男性、頭を骨折 南相馬強盗、娘「容疑者名覚えない」

南相馬市原町区大原字舘沼の男性(77)方で起きた強盗致傷事件が27日、急展開した。南相馬署は強盗致傷の疑いで東京都多摩市、自称とび職の男(20)を逮捕。同署はほかに2人以上の男が関わったとみており、犯行グループが棒状の凶器を事前に準備し、金品目的に計画的に犯行に及んだとみて、男の役割などを調べている。
同署によると、棒状のもので殴られた男性は頭の骨の一部を骨折した上、額などをけがしているが命に別条はないという。襲われた当時、自宅で一緒にいた妻にけがはなかった。
男性の長女は福島民友新聞社の取材に対し「皆さんの協力のおかげ。1人が逮捕されてほっとしている。次の被害者を出さないために、ほかの犯人も早く捕まってほしい」とし、男については「名前などに覚えはない」と話した。
男性の親族などによると、事件があった夫妻の住宅がある敷地は塀で囲まれており、敷地内に別棟が数棟ある。そのうちの1棟で長女と孫が住んでいた。違う別棟はプレハブの作業員宿舎として使っているという。男性は土地を複数箇所所有する資産家で、日頃から県外ナンバーの車の出入りがあったという。敷地内の作業員宿舎に住む男性は「夫婦が住んでいる場所を知った上で犯行に及んだのではないか」と話した。
住民「共犯者、まだ安心できぬ」
強盗致傷事件の容疑者逮捕の一報に、近隣住民の間には、安堵(あんど)の声が広がった一方、「まだ共犯者が近くに潜んでいる可能性もある。全員が逮捕されるまでは何をするか分からない。まだ安心できない」との声も聞かれた。
市は防災行政無線で市民に防犯態勢の強化を呼びかけた。戸締まりの徹底をはじめ、不審者が来訪した際には110番通報するよう広報した。事件現場付近に住む20代男性は「地域ぐるみで施錠を呼びかけたい」と話した。
登下校見守り
事件を受け、県警は27日、事件現場近くの小、中学校で登下校時の警戒活動に当たった。当面の間は続ける予定で、石神一小、石神二小、石神中の登下校ルートに警察官が立ち、児童、生徒の登下校を見守る。
警察官と登校児童を見守った石神一小の鈴木克哉校長(64)は「保護者も不安視している。登下校の安全を確保したい」と話した。子どもを車で送り届けた男性(44)は「こんな田舎で事件があり不安だ」と表情を曇らせた。
市教委は27日までに、保護者に対し、不審者らへの注意喚起を促す文章をメールで送った。児童、生徒には授業時間などを通じ、できるだけ複数人で登下校することや在宅時の戸締まりを徹底するよう指導した。