廃校活用しベニザケ養殖 いちいと川俣町が協定、26年事業化目標

 
ベニザケの陸上養殖の生産・研究施設として利活用される旧富田小校舎

 スーパーを展開するいちい(福島県福島市)は、昨春に閉校した川俣町の旧富田小でベニザケを陸上養殖する実証事業に乗り出す。改修した校舎に生産、研究施設を整備し、早ければ3年後の2026年の事業化を目指す。町といちいが27日、企業立地と施設利活用に関する基本協定を結んだ。

 いちいは昨年からNTT東日本、岡山理科大と共同でベニザケの陸上養殖の実証事業を展開している。すでに本社敷地内で約千匹のベニザケを養殖しており、町内に整備する新たな拠点と並行して事業化したい考えだ。本社での事業化も26年を目指しており、成功すれば世界初になるという。

 川俣では、教室の一部や体育館に水槽を設置し、1万~1万5千匹を飼育する。魚へのストレスが少なく成育に適した「好適環境水」を使用し、ろ過して循環させる。技術やコスト面での課題解決に向けて、飼育試験のデータ収集や分析を行う。

 事業化により水産資源を生かした地域ブランドの創出や町と連携したイベントの展開、施設を活用した食育活動の推進などが期待される。施設の改修は来年2月までに完了させる予定。

 町役場での調印式で、藤原一二町長と伊藤信弘社長が協定書に調印した。藤原町長は「閉校した校舎が地域ブランドや雇用の創出、地域活性化の拠点として有効活用されることで、町の発展につながる」、伊藤社長は「ベニザケ陸上養殖の事業化を川俣から発信できるよう、町や住民と連携していきたい」と述べた。