双葉、にぎわい徐々に 避難指示解除から半年、複数の企業進出

 
双葉町で12年ぶりに開かれた双葉町ダルマ市では、多くの町民らでにぎわった=1月7日

 双葉町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除されてから、28日で半年を迎えた。東京電力福島第1原発事故による全町避難を経て、震災前にあった行事の復活や企業進出などで徐々に人の往来が活発化し町は活気を取り戻している。一方で現在の町内居住者は、推計で帰還者や企業関係者ら60人超にとどまり、移住定住につなげる取り組みが求められる。

 町の新春恒例行事「双葉町ダルマ市」は1月7、8の両日、震災から12年ぶりに町内で開かれた。2日間で計3200人が駆け付け、会場のJR双葉駅前は、原発事故後初めてとみられるにぎわいを見せた。

 住民の働く拠点として、2020年3月に避難指示が先行解除された中野地区復興産業拠点には現在、20区画に県内外から24社が進出。14区画で操業が始まり、日中は拠点全体で300人超が働く。4月22日の開業を目指す浅野撚糸(ねんし)(岐阜県安八町)双葉事業所は25日に内覧会を開き、800人が来場。撚糸工場のほか、住民らの憩いの場となるカフェなども公開された。

 町が双葉駅西側に整備している駅西住宅の第1次入居は昨年10月に始まり、18世帯22人が生活。23日には集会所で入居者や地域住民らによる初の芋煮会も開かれ、約30人が交流を深めた。町は24年5月をめどに全86戸の住宅を建てる計画だ。

 双葉町の復興拠点は双葉駅周辺の約5.55平方キロメートルで、昨年8月30日に避難指示が解除された。原発事故による全町避難が最も長く続いていた。