コロナ禍...学校生活「つながり希薄」 教員懸念、心のケア必要

 
コロナ禍での心のケアについて学ぶ研修会も開かれ、関心は高まっている

 新型コロナウイルス禍が続く中、学校生活を送った小中学生や高校生が卒業や進級する時期を迎える。休校措置などにより、授業や部活動などで制限を受けてきた子どもたちだ。現場の教員はコロナ禍で人とのつながりが希薄となった影響を懸念しており、専門家は子どもたちの動向を注視し、相談しやすい環境づくりの必要性を指摘する。

 現場で児童生徒たちと接してきた教員は、コロナ禍の影響を感じている。福島市にある小学校の女性教員は、コロナ感染などで出席停止が長引き「元気になっても登校できない状況が続いた児童もいた」と話す。

 福島市の別の小学校の男性教員は「何か物事に取り組む際、必要以上に不安を感じる児童がいる」とし、コロナ禍の不安からか、物事に挑戦する意欲が減退している児童もいるという。

 また郡山市の中学校で学年主任を務める女性教員は、感染対策で友人同士でのグループ活動が十分にできなかったため「人間関係の築き方を学べていない生徒もいると思う」と指摘。コロナ禍で学校を休むことに対し、生徒は抵抗感が少なくなったとも感じたという。コロナ禍の影響を感じ取った教員の中には、これまで以上に親身になって話し相手になるよう心を砕き、寄り添うよう気にかけてきた人もいた。

 では周囲の大人たちは何ができるのか。福島市では今月、コロナ禍の子どもの心のケアについて、研修会が開かれるなど関心も高まっている。福島学院大福祉学部こども学科の佐藤佑貴教授(46)=臨床心理学=は、家庭など身近な関係の中で支えることが重要だと強調し、「学習意欲の変化などを今後、注視していく必要がある」と話す。ただし、佐藤教授は、制限された生活に児童生徒も慣れており、欲求が表面化しづらく、周囲の人間も変化に気付きにくい可能性があると指摘する。

 ふくしま子どもの心のケアセンター主任専門員で、福島学院大客員助教の佐藤則行さん(41)は「コロナ禍などの非日常の時に起きる反応を知っておくと、子どものストレスに気付くことができる」とし、「子どもは助けを求めていても、相談できないことが多い。子どもが相談しやすい環境づくりが大切」と強調した。