気候変動対応機関新設へ 福島大と連携、「適応策」を全県波及

 

 県は新年度、地球温暖化の影響による気候変動に対応するため「県気候変動適応センター」を新設する。自然災害の激甚化や熱中症リスクの増大など、気候変動に起因するとみられる事象が相次ぐ中、県内での影響の把握に加え、研究機関と連携した分析を進め、本県に特化した気候変動の対応策でもある「適応策」を全県に波及させる。

 県は4月1日付で県環境創造センター(三春町)と県庁の県環境共生課に適応センターを設置する。県環境創造センターには、国の気候変動適応センターの国立環境研究所が入所しており、本県の環境情報を発信する「コミュタン福島」も併設されている。

 県は▽農業・林業・水産業▽水環境・水資源▽自然生態系▽自然災害・沿岸域▽健康▽産業・経済活動▽国民生活・都市生活―の7分野で、希望する市町村と協力して情報を収集する。

 気候変動の影響は県民生活や企業の事業活動に直結するため、影響が大きいと予測される分野の事業者や県民を対象としたヒアリングの機会も設ける。実際にどのような影響が生じているのかを把握し、分析などで福島大と連携する。

 地球温暖化対策は、温室効果ガスを抑制する「緩和策」と、気候変動に対応する「適応策」の取り組みが不可欠とされるが、国の調査では適応に関する認知度が11.9%と低調だった。県は活動で得られた情報をセミナーなどを通して県民に伝え、気候変動の影響や適応に関する理解醸成を図り、課題解決に向けた取り組みにつなげていく。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、世界の平均気温の上昇幅が産業革命前と比べ1.5度を超える可能性が高いとされ、被害を軽減するためにも「適応策」の推進が必要としている。

 県は新年度に設立する予定の産学官民による「ふくしまカーボンニュートラル実現会議(仮称)」で「緩和策」と「適応策」の実践を両輪で進める考えだ。適応センターで得られた知見を実現会議でも共有し、全県での取り組みとする。
 27日の2月定例県議会で、自民党の渡辺哲也議員(福島市)の追加代表質問に久保克昌生活環境部長が答えた。