相馬港復旧23年度目標 22年地震被害、現在は岸壁11カ所使用可

復旧工事の状況を公開した見学会。段差やひび割れが生じた舗装を撤去し、新たにコンクリートを敷き詰める作業が行われていた=相馬市・相馬港3号ふ頭
本県沖を震源とする昨年3月の地震から1年になるのを前に、東北地方整備局と県は28日、被害が甚大だった相馬港で復旧工事の状況を公開する報道陣向けの見学会を開いた。同港は2021年2月の地震でも被災しており、工事では今後の被害を軽減するための工法も採用している。県などは、23年度中の復旧工事の完了を目指している。
相馬港は昨年3月の地震で岸壁が変形し、用地の舗装に亀裂や段差などが発生した。被災直後は、船舶が接岸する公共岸壁15カ所のうち、活用できたのは4カ所のみだったが、応急対策を急ぐなどし現在は11カ所が使用可能となっている。復旧工事は、船が接岸できない期間を短くするよう計画を作成し実施している。
公開されたのは、東北地方整備局が工事を行っている3号ふ頭南側。海側に箱状のコンクリート製構造物を並べて岸壁を造り、上部で舗装が行われていた。
地震では隣接する用地の土の圧力で構造物が押されて移動し、岸壁が変形した。工事では、隣接用地に発泡剤などを混ぜて軽くした特殊な処理土を敷き詰めた。地震の際、構造物にかかる負荷を小さくする効果が期待できるという。このほか、新たなコンクリート舗装や、岸壁に取り付けたクッション材の位置を調整する作業も行われている。
同整備局小名浜港湾事務所の日向幸紀副所長は「同じような地震でも壊れにくく、すぐに修理ができるような復旧工事を進める」と話した。