マスクを外して笑顔の巣立ち 安達東高などは統合前最後の卒業式

県立高校の卒業式が1日、全日制73校、定時制6校で行われ、約1万1300人が学びやを後にした。卒業生は新型コロナウイルス禍で不自由な高校生活を強いられたが、最後はマスクを外して笑顔で記念撮影するなど思い出を刻んだ。
保原と梁川、二本松工と安達東、白河実と塙工、耶麻農と会津農林、田島と南会津は統合前の最後の卒業式となり、卒業生計約710人が母校との別れを惜しんだ。郡山萌世・通信制は5日に卒業式を行う。
統合に伴い閉校する安達東高では総合学科41人が卒業した。結城南海さんは答辞で「高校での学びを胸に困難を乗り越えていきたい」と決意を披露した。
同校は1973年4月に開校し、今回を含め5800人余りが巣立った。
高校生活初「マスクなし」行事
県内の各高校で1日に行われた卒業式に出席したのは、コロナ禍でさまざまな制約を受けながら高校3年間を過ごした生徒たち。マスクなしでの出席が「基本」とされた式で、卒業生からは「最後に友達の顔が見られて良かった」との声が上がった。
各校の卒業式にはマスクを外して出席した卒業生がいた一方、これまで通り着用する人もいて、対応が分かれた。マスクをせずに式に臨んだ福島高卒業生の伊藤優介さん(17)は「最後はやっぱり先生や親の前でちゃんと顔を見せて感謝を伝えたかった」と理由を語る。
新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された高校生活。伊藤さんは「さまざまな制限がある中で、どうすれば思い出をつくっていくことができるのか自分たちで考えて行動することの大切さを学んだ」と振り返った。
福島明成高の荘司尚希さん(18)は式の間はマスクを着用したが、「親に晴れ晴れとした表情を見せたい」と入退場時にマスクを外した。感染拡大の影響で2年生の時に予定されていた修学旅行が中止になるなど我慢を強いられた高校3年間だったが、「(修学旅行の代わりに実施された)昨年の北海道への学習旅行は一番の思い出になった」と笑顔を見せた。
郡山高の女子生徒(18)も式の間は着用し、入退場時は外した。高校の学校行事にマスクを外して参加するのはほぼ初めてで、「顔を初めて見る友達もいて、新鮮な気持ちです」と語った。「3年生の時に初めて開催された体育祭が思い出深い。制限はあったが、最大限充実した高校生活を送ることができた」と達成感をにじませ、学びやに別れを告げた。