詐欺グループ所持「闇リスト」に被害男性の名前 南相馬の強殺未遂

 
送検される専門学校生の男=2日午前10時50分ごろ、福島署

 南相馬市原町区大原字舘沼の男性(77)方に複数の男が押し入り現金数万円や貴金属が奪われた強盗殺人未遂事件で、被害に遭った男性の名前が10年以上前、特殊詐欺グループが所持していた「闇リスト」と呼ばれる名簿に記載されていたことが2日、捜査関係者などへの取材で分かった。南相馬署は、この名簿に基づき今回男性方が狙われた可能性もあるとみて捜査を進める。

 捜査関係者によると、東日本大震災前に県外の特殊詐欺グループが持っていた名簿に男性の名前が載っていたという。2011年前後、特殊詐欺グループが持つ名簿などの情報を集約していた警察庁から県警に情報提供があり、当時の南相馬署員が男性方を訪問して詐欺被害に気を付けるよう呼びかけたという。

 同署はこれまでに、男性方に押し入った実行犯役として東京都多摩市のとび職の男(20)、東京都八王子市の専門学校生の男(20)の両容疑者を逮捕。このほか、複数の男が事件に関与したとして逃げた男の行方を追っている。同署は2日、事件時に使用されたとみられるレンタカーの検証を行った。自身の名義でレンタカーを借りたとび職の男を立ち会わせた。車は青色の乗用車で、捜査員がとび職の男から車の状況を確認し、車内の指紋を採取するなどした。同署はまた、専門学校生の男を送検した。

 「今も恐怖よみがえる」妻がコメント

 事件当時、男性と一緒に自宅にいた妻(73)は2日、南相馬署を通じてコメントを発表した。「夫と私は、突然の被害に死を覚悟しました。今もよみがえる恐怖もあり混乱のさなかにいます」とし、「一番の願いは、事件解決と先週までの穏やかな日常生活を取り戻すことです」と願った。男性の名前が載る闇リストの存在は震災以前から知っており、実際に詐欺被害に遭っていたことも明らかにした。