原発訴訟弁護士を提訴 原告側会見、女性俳優「性加害受けた」

 
記者会見で「生涯弁護士として活動しないでほしい」と訴える知乃さん=3日、東京都内

 東京電力福島第1原発事故で避難した住民による集団訴訟の原告側代理人を務めた弁護士の馬奈木(まなぎ)厳太郎(いずたろう)氏(47)から性的関係を迫られ精神的苦痛を受けたとして、舞台俳優の知乃さん(25)が馬奈木氏に1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。提訴は2日付。3日、原告側が都内で記者会見を開き、知乃さんは「生涯、弁護士として活動しないでほしい」と訴えた。

 訴状によると、知乃さんは2018年に「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」を設立して代表に就任。馬奈木氏は同会の顧問に就任した。2021年に同会のウェブサイトの記載を巡り訴えられた訴訟で知乃さんらの代理人に就任した。19年以降、知乃さんは馬奈木氏から手を握られるなど度々身体接触を受け、代理人になってからは訴訟の打ち合わせを理由に呼び出されたり、キスを強要されるなどした。

 22年1月、知乃さんは馬奈木氏からLINE(ライン)で「次、2人きりであったら、押し倒しそうだよ」などとメッセージを受けた。関係を拒むと「なくす会も僕は抜けた方がいいって話になるよ」などと迫られ、意思に反する性行為に及んだという。その後知乃さんは精神状態が悪化したという。

 原告側は訴状で「代理人弁護士という優越的な立場を利用しており悪質」と主張。原告側はまた、第二東京弁護士会に懲戒請求を申し立てた。

 馬奈木氏は1日、自身のブログでセクハラ行為を認め、謝罪した。馬奈木氏の代理人は3日、「現時点ではコメントの発出は予定していない」とした。

 馬奈木氏は原発事故を巡る集団訴訟で最大規模の「生業(なりわい)(福島)訴訟」の第2陣の事務局長を担当していたが辞任した。原告側代理人も辞任している。

 被害に向き合って 生業訴訟の中島団長

 生業訴訟の中島孝団長は「非常にびっくりした。とんでもないことをしたと思う」と落胆の色を隠せなかった。中島団長によると、1月中旬に開かれた同訴訟の合同会議で馬奈木氏から謝罪があったという。「被害に向き合い、被害者の苦しみをなくすよう対応してほしい」と話した。