富岡・復興拠点避難指示、4月上旬解除へ 町長「桜まつり前に」

富岡町の山本育男町長は3日、夜の森地区を中心とした町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を4月上旬とする方向で政府と協議する考えを示した。3日開かれた町議会全員協議会で議会から対応を一任されたことを受け、「夜の森地区で4月8、9日に行われる桜まつりの前(の1~7日)に解除し、復興を勢いづけたい」と語った。具体的な解除日については今月中旬ごろの決定を目指す。
町議会全員協議会では、環境省が拠点内の除染の進捗(しんちょく)を説明した上で、比較的放射線量が高い地点については徹底的に追加除染に取り組む考えを示した。町は復興拠点内での営農再開に向けた取り組みや宅配サービスの早期再開などを示し、議会に避難指示解除について理解を求めた。
議員から「帰還を待ち望む町民のため一日でも早い解除が妥当」との意見が上がる中、高橋実議長が「解除後も復興の取り組みを継続するという約束は、必ず守ってもらいたい」と対策の徹底を政府側に念押しした。内閣府、環境省、町側が対策の実施を確約したため、全会一致で町に対応を一任することを決めた。
山本町長は協議会後、報道陣の取材に対し「ようやくここまで進んだ。今後も復興再生に向けてしっかりと取り組んでいく」と述べた。
富岡町の復興拠点の避難指示解除は「2023年春ごろ」を目標としてきた。2月の全員協議会では、議会側が17年の解除の際、線量が高い場所の追加除染が不十分だったとして、政府と町に対応の充実を訴えていた。復興拠点は、夜の森地区を中心とする約3・9平方キロ。震災前には約3800人が生活していた。昨年4月から始まっている準備宿泊には、26世帯54人(2月末時点)が登録している。