再び古里に...楢葉でサケ稚魚放流「大きくなって戻ってこいよ」

 
木戸川にサケの稚魚を放流する関係者=楢葉町

 木戸川漁協は6日、楢葉町の木戸川でサケの稚魚約1万匹を放流した。関係者は稚魚が大きく育ち、再び古里に戻ってくることを願った。

 木戸川は本州有数のサケの遡上(そじょう)地として知られており、震災と原発事故前は毎年10万匹前後の漁獲があった。しかし、津波で一部のふ化施設が流され、原発事故の影響で4年間は稚魚を放流できなかった。2015(平成27)年に漁を再開したものの捕獲数は伸びず、昨年は423匹だった。

 遡上数を増やすため同漁協は昨年、山形県から仕入れた卵をふ化させて放流する取り組みを実施。今年は新たに北海道から仕入れてふ化させた稚魚も放流した。

 この日は漁協や町関係者約10人が「大きくなって戻ってこいよ」と声をかけて放流した。同漁協によると、今シーズンは4月上旬までに計292万匹を放流するという。

 同漁協鮭ふ化場長の鈴木謙太郎さん(41)は「継続して放流することが大切だ。木戸川のサケを復活させ、楢葉の復興を後押ししたい」と話した。