浪江と米2都市が水素連携 5月に3者協議、先進地の知見共有

 

 福島県浪江町と米国カリフォルニア州ランカスター市、ハワイ州ハワイ郡は世界的な水素社会の実現に向けた協力関係を構築する。水素先進都市として水素の利活用に関する知見を共有するほか、都市間や民間企業間での交流、情報発信など取り組みを加速させる。7日までに米国エネルギー省のプログラム「H2 Twin Cities(H2ツインシティーズ)」に採択された。町によると、採択は初めて。吉田栄光町長が渡米し、5月に具体的な連携内容を3者間で協議する。

 原発事故で全町避難した浪江町は、原子力、化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの地産地消や水素利活用を軸とした復興と町づくりを進める。町内に水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」が立地し、町は官民一体で水素を「つくる、はこぶ、ためる、つかう」の各種実証を町内で展開している。

 ランカスター市は太陽光発電など米国屈指の再エネ導入実績を誇り、2020年11月に全米で初めて「水素都市」を表明。浪江町とランカスター市は21年10月に「水素社会の実現に向けた自治体パートナーシップ宣言」に調印しており、水素の利活用を模索するハワイ郡を含めて取り組む。

 プログラムは、ランカスター市が米国エネ省から受けた補助事業の一環で、今後5年間で10万ドル(日本円で約1300万円)を活用していくという。

 吉田町長は7日開会した町議会の行政報告で「脱炭素社会の実現に向けた取り組みを世界や日米間で普及させる先導役となるよう、さらなる親交を深めたい」と述べた。