最高裁判決後、国の責任は 原発事故損害賠償、いわき市民訴訟
東京電力福島第1原発事故で精神的苦痛を受けたとして、いわき市民1337人が国と東電に慰謝料などを求めた訴訟で、仙台高裁(小林久起裁判長)は10日、判決を言い渡す。4件の同種訴訟で統一判断を示した昨年6月の最高裁判決後、国と東電を被告とした訴訟では初の高裁判決となる。国の責任を否定した最高裁の判決を受け下級審がどう判断するか注目が集まる。
判決で注目される点は▽最高裁判決を覆して、国の責任を認めるか▽昨年12月に見直された国の賠償基準「中間指針」の第5次追補の枠組みを超える慰謝料や対象期間が示されるか―の2点。
最高裁判決では、争点となっていた国の地震予測「長期評価」の信頼性や大津波到来の予見性について判断を示さず、津波対策については「当時の知見では防潮堤の設置が基本だった」などと判断し、国の責任を否定した。
一審・地裁いわき支部の判決は最高裁判決の前の21年3月に言い渡された。国と東電の責任を認め、計約2億400万円の賠償を命じた。判決を受け原告と、被告の東電と国の双方が控訴していた。控訴審では、原告側が「防潮堤しか津波対策の考えはなかった」とする最高裁の判決を誤りだとし「防潮堤が完成するまでの間、先行して水密化措置を検討されるべきだった」などと主張している。
また賠償については「一審判決は被害実態に見合っていない」として期間の延長や賠償額の増額を求めている。