品種改良、効率化へ 福島大など研究グループ、遺伝子位置特定

研究成果を説明する菅波特任助教
福島大食農学類付属発酵醸造研究所などの研究グループは8日、食味などを決定づける遺伝子の位置を効率よく特定する新手法を確立したと発表した。野菜や果樹など幅広い作物で、品種改良の効率化や多様化につながる可能性がある。研究成果は2月、米国の主要学術誌「プラントフィジオロジー」に掲載された。
食味や耐病性、形状などの特性は遺伝子によって決まる。研究グループによると、新品種を開発する際、掛け合わせる品種が持つ遺伝子の位置情報が分かれば、目標とする食味やサイズなどの特性を効率よく引き継がせることが可能になる。
例えば粒の大きいコメ品種を開発する場合、実際に多くの品種を育て、大粒のコメを実らせた品種に共通する遺伝子を探す必要があるが、こうした作業には3~5年の長期間を要する難点があった。
研究グループは各地の農業試験場などが蓄積してきた作物や品種ごとの膨大なデータに着目。これにより、収量や開花時期などの情報が容易に得られるため、目的とする遺伝子の位置を特定するまでの期間が1年程度に短縮できるという。
研究グループ代表の菅波真央特任助教は8日、同大で開いた記者会見で「コメやモモ、野菜などさまざまな作物で新品種の育成が進むと期待できる」と述べた。
発酵醸造研究所は2021年4月に開設。発酵醸造の主原料作物に関する研究などを手がけている。