処理水「丁寧な説明重ねる」 岸田首相、理解醸成へ意欲
岸田文雄首相は11日、東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出について、政府が県漁連と約束した「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとの方針は順守する」とした上で「特定の人を関係者と考えるわけではない。理解の度合いを特定の指標や数値によって一律に判断することは困難だ」との認識を示し、地元への丁寧な説明を重ねると強調した。福島市で東日本大震災追悼復興祈念式に出席後、報道陣の取材に応じた。
岸田首相は、処理水の海洋放出は「決して先送りができない課題だ」と断言。政府が海洋放出を見込む「今年春から夏ごろ」に向け、国際原子力機関(IAEA)と連携するなど科学的根拠に基づく情報発信を続け、理解醸成に取り組む考えを改めて示した。「漁業者をはじめ、地元の方々の懸念に耳を傾け、政府を挙げて丁寧な説明と意見交換を重ねていく」と述べた。
また、原発の運転期間延長に関しては「安全性と地元の理解が最優先なのは大前提だ。被災3県を含め、今後も丁寧な説明を続けていきたい」とした。ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格高騰を踏まえ「安定供給と脱炭素の両立は、日本の重要な国家課題だ」と指摘。規制基準に適合した場合のみ再稼働を進める方針を改めて強調した。