マスク緩和、県内「様子見」 新型コロナ、通勤通学は多くが着用

 
13日朝にJR福島駅前を歩く人。多くの人がマスクを着用していた=午前8時47分

 新型コロナウイルス感染対策のマスク着用ルールが13日、緩和された。これからはマスク着用が屋内外を問わず「個人の判断」に委ねられるが、初日の県内では依然マスクをした人が多く、「周りが着けていると外しにくい」との声もあった。

 福島市のJR福島駅東口駅前では、通勤通学する人の多くがマスクを着用していた。福島南高の半沢芯さん(16)は「(マスクが)自由になったのはうれしい。でも周りが着けていたら外しにくい。教室内でも着けるつもり」とマスクをして通学した。一方、仙台市から福島市に新幹線で通う会社員淡路忠行さん(53)はマスクを外して通勤。人が集まる場所は着用するが、人との距離が取れる新幹線や屋外ではマスクを外しているという。「昨日までは一応どこでも着けていたが、今日から外した。状況にもよるが、基本的に着用は個人の自由で良いと思う」と話した。

 郡山市の郡山三中で行われた卒業式では、校歌などを斉唱する時以外、マスク着用を個人の判断に委ねた。入場の際は大半の生徒がマスクを身に着けていたが、卒業証書授与では一斉にマスクを外して証書を受け取った。卒業生と学年の担任が話し合って決めたという。今後の学校での対応について安田良一校長は「調理実習やみんなで歌う行事など必要な場面でマスクを着用していくことになると思う。文科省の通知をしっかり注目したい」。

店員は着用継続 店舗などでは、来店者への着用呼びかけをやめる一方、従業員はマスク着用を継続するところも。スーパーを展開するいちい(福島市)では社内の感染防止対策もあり、店舗スタッフはマスク着用で来店者を出迎えた。来店者のマスク着用は政府方針に従い、個人の判断に委ねるという。

 県内外から多くの人が訪れるいわき市のアクアマリンふくしまは13日、施設の案内表示を「マスク着用は皆さまの判断でお願いします」に変更した。スタッフはマスク着用を継続する方針で境野浩義副館長は「まずはお客さまが安心して快適に楽しめることが第一。(職員のマスク着用は)感染状況を見ながらお客さまの意見を参考にして、当面はこの対応を続けたい」としている。マスクを着けて来館した福島市の会社員藤島未羽さん(26)は「いつまでも自己判断でというわけにはいかない。国にはどこかのタイミングで『着けなくて大丈夫』とアナウンスしてほしい」と語った。

 内堀知事「時には着用も」

 内堀雅雄知事は13日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染リスクや重症化リスクを理解し、感染対策に効果的な場面ではマスクを着用することを呼びかけた。マスクの着脱が個人の判断に委ねられている点にも言及、マスクの有無によって差別や偏見がないよう、県民に対しては思いやりのある行動を求めた。

 マスク着用が効果的な場面については、医療機関や高齢者施設を訪れる場合、混雑した乗り物に乗るときなどを例示した。内堀知事は、マスク着用の指針が変わっても「ウイルスの性質や、感染症対策の本質は変わらない」と強調。その上で「3密」の回避、人と人との距離の確保、手洗いや換気の励行など、基本的な感染症対策の継続を求めた。