最後の卒業生思い出刻む 22年度閉校、天栄・湯本といわき・大野

 
閉校式を終え校舎や恩師らとともに記念撮影する高木さん(右から3人目)ら卒業生=いわき市・大野中

 県内では本年度で、湯本(天栄村)と大野(いわき市)の二つの中学校が閉校する。両校では最後の卒業生が母校の思い出を胸に刻んだ。

 湯本中では、佐藤瑛汰さん(15)と星葵さん(15)の2人が卒業の日を迎えた。2人は閉校後も地域に残り続けるものをつくろうと本年度、村産ヤーコンやインゲンなどを活用したお菓子などを開発。クリエイティブディレクターの箭内道彦さん(郡山市出身)らと一緒に、学びやへの思いの詰まった曲も制作した。お菓子などは今月、村のふるさと納税の返礼品にも採用された。星さんは「どんなことでも2人で協力して頑張ってきた」、佐藤さんは「たくさんの人の協力で、考えた商品を完成させることができた」と学校生活を振り返った。

 「閉校を知りながら入学したが、考えていた以上にすてきな思い出ができた」。大野中の卒業式では、代表の高木結衣さん(14)が3年間を振り返りながら別れの言葉を述べた。

 1947(昭和22)年に開校したが、今年の3人が最後の卒業生となる。卒業式後の閉校式では、3人を中心に閉校をテーマとした朗読劇が披露された。高木さんは「大人になっても絶対に大野中のことを忘れない」と誓った。閉校で、大野地区からは幼稚園を含めて学校がなくなる。同窓会長の草野啓明さん(79)は「何ともいえない寂しさがある。地域の活気がなくなるのが心配」としながら、「大野中の卒業生たちが何かの形で力になってほしい」と願った。