97歳に禁錮3年6月求刑 福島暴走事故、検察側「結果は重大」

 

 福島市南矢野目の歩道で昨年11月、軽乗用車を暴走させ女性1人を死亡、4人にけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた同市北沢又字樋越北、波汐國芳被告(97)の論告求刑公判は15日、福島地裁(三浦隆昭裁判長)で開かれ、検察側は禁錮3年6月を求刑し、結審した。判決公判は4月12日午後2時から。

 検察側は論告で、事故は「年齢ゆえの運動・判断能力低下に起因するのは明らか。被害者に落ち度はなく、結果は極めて重大」と指摘。波汐被告が食事配達サービスやタクシー利用などが可能だったとし、「車の運転が生活に必要不可欠だったとは言えない」とした。弁護側は最終弁論で、波汐被告が事故を反省していると主張。また長女が個人契約ができるタクシーを探していた点を挙げ「(運転をしない生活のために)一定の努力はしていた」と情状酌量を求めた。

 公判には被害者参加制度を利用し、事故で亡くなった女性=当時(42)=の夫が参加。意見陳述で「私の最愛の妻を、子どもたちにとってかけがえのないママを返してください」と涙ながらに訴えた。波汐被告は最終陳述で、「大変申し訳ないことをした。心からお詫び申し上げます」と述べた。