観光客受け入れ、飲酒も解禁...返り咲く「花見の季節」

桜の開花に合わせた春の観光シーズンが近づき始めた。今季は新型コロナウイルス感染症による規制が大幅に緩和され、国内外からの観光客数の回復に、県内関係者の期待は大きく膨らんでいる。気温の高い日が続き桜の開花時期も早まる見込みで、各地で受け入れの準備も始まっている。
花の名所として知られる福島市の「花見山公園」は18日から、観光客の受け入れを本格化させる。花見山観光振興協議会によると、行動制限が緩和された今春の来訪者数は、昨季の5万9000人を上回る10万人を想定。新型コロナ禍前の2019年(23万4000人)と比べるとまだ少ないが、多様なおもてなしを用意し、観光客の満足度向上につなげていく考えだ。
18日には、花見山を案内するボランティア「ふくしま花案内人」が今季の活動を開始。25日から4月16日までは周辺の交通規制を行い、あぶくま親水公園に設けるマイカー臨時駐車場とのシャトルバスやJR福島駅東口からの臨時バスを運行する。今季は観光バス臨時駐車場を完全予約制とし、受け入れを円滑化する。16日時点で予約数は300台近くに上っており、水際対策の制限緩和を追い風に、ベトナムや台湾などからも予約が入っているという。初の試みとして、福島銘菓や農産物などを取り扱う物産広場で「醸造王国ふくしま」ブースを25、26の両日に出店し、県産の日本酒などを味わってもらう計画だ。18日にはスタンプラリーなどのイベントも始まるため、同協議会の菅野広男会長は「新型コロナ禍で3年間、生活環境は非常に厳しかったが、今年は多くの人の来場を期待している」と話す。
観光客の受け入れ準備は県内各地で進んでいる。会津若松市の鶴ケ城では、例年より開花が早まるとみて管理する会津若松観光ビューローがごみ箱設置など、花見客を迎える準備を急いでいる。市とビューローはこの3年、新型コロナ感染を防ぐため花見客にレジャーシートを敷いての飲食を自粛するよう求めていたが、今年は4年ぶりに解禁する方針。ビューロー公園管理課の鈴木俊一さん(56)は「お酒を飲みながら花見を楽しむ人がたくさんいる、新型コロナ禍前の普通の光景が戻ってきてほしい」と期待する。
昨年、国天然記念物指定100周年を迎えた三春町の三春滝桜でも、昨年まで実施していたQRコードを活用した入場者数制限や会場内飲食禁止などの制約を外し、以前とほぼ同様の観光客受け入れ態勢に戻す予定だ。町は昨年、100周年記念事業として各種PR事業を繰り広げた。町担当者は「広報の効果に期待し、来場者数増につなげたい」と話している。
「行く」53%、昨年の2倍超
民間気象会社「ウェザーニューズ」が発表している最新の桜開花予想では、福島市は28日に開花し、4月1日に満開となる見込み。郡山市の開成山公園は31日に開花、4月5日に満開を予想している。
同社が16日に公表したスマートフォンのアプリを通じて行った花見に関する調査によると、回答者約3万8000人のうち花見に「行く」が53%、「行かない」は24%、「決めかねている」は23%だった。「行く」と答えた人の割合は昨年の2倍以上で、新型コロナ禍の行動制限が緩和されたことが影響しているとみている。
また、一度は行ってみたい桜の名所について聞いた調査では、1位は弘前公園(青森県)、2位は吉野山(奈良県)、3位は本県の三春滝桜(三春町)だった。花見にかける予算では、全国平均が2530円で、トップは秋田県の3283円、本県は28位の2514円だった。