開港30年、搭乗客数は99年度がピーク...福島空港、再浮上に挑む

福島空港は20日、開港から30年となる。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故や新型コロナウイルスなどの影響もあって搭乗客数は低迷し、浮揚策を見いだせていない。ただ、新年度には福島国際研究教育機構が設立するなど復興の大きな転換期を迎えることから、県はこうした動きを追い風に国内、国際両線で新規路線の開拓など"再浮上"を狙う。(折笠善昭)
震災で状況悪化
1993年3月20日に誕生した福島空港の開港からの搭乗客数の推移は【グラフ】の通り。今年2月末までで累計1236万2703人に上る。国内、国際両線で計9路線が就航していた99年度は年間75万7625人が搭乗したが、同年度をピークに右肩下がりとなった。
震災と原発事故後はさらに状況が悪化。国際定期便2路線が完全撤退し、現在の大阪、札幌の2路線態勢になると、20万人台まで落ち込み、人の往来が制限された新型コロナウイルス禍には10万人を割り込んだ。路線数の減少が搭乗客数の低迷につながっている構図に、県空港交流課の担当者は「目指すべきは定期路線の拡大に尽きる」と強調する。
チャーター増加
県は、定期便を就航するには双方向で安定的な往来が確保できるかどうかが鍵を握るとみる。そこで取り組んでいるのがチャーター便の積極的誘致だ。開港年度の92年度を除く10年単位でチャーター便運航本数の年間平均をみると、国内線は93~2002年度が10.3便、03~12年度が19便、13~22年度が42.6便と増え、国際線も60便、66.9便と増加したが、13~22年度はコロナ禍で54便だった。
国際チャーター便はコロナの水際対策で2年続けて実績がなかったが、今年1月にベトナムを結ぶチャーター便が復活。今月20日からは連続チャーター便が運航するなど明るい兆しが見える。県は「チャーター便を通して人の流れを生みだし(運航先との)関係性の構築を進め、将来的な定期便化を目指す」と意気込むものの、04年度から18年間、定期路線の本数は増えていない。
連絡会活動再開
ただ、打開するきっかけはある。県が目指す沖縄定期便の再開で本年度、福島、沖縄両県による官民連携組織「うつくしま・ちゅらしま交流・福島空港利用促進連絡会」の活動が再開した。新年度は「うつくしま・ちゅらしま交流宣言」から20年の節目を迎えるだけに、09年1月以来の定期便復活に期待が高まる。
さらに県内では4月1日、福島国際研究教育機構が浪江町に設立する。国内外から研究者や関係者の来県が想定され、研究成果だけではなく人流拡大といった波及効果が期待される。県幹部は「(機構)設立による関係者の交通アクセスの手段の利便性を発信して、空港の利用促進を図っていく」と強調する。一つ一つのきっかけを福島空港にぎわい回復の揚力とできるか。県の総力が試される。
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