福島空港、学びも交流も あす開港30年、広がる活用

 
多くの来場者が訪れ、各窯元の力作を買い求めた大堀相馬焼の春の新作展。県のほぼ中央にある福島空港は多彩なイベントの会場として活用されている=3日、福島空港

 福島空港は20日、開港から30年を迎える。開港以来、国内外を結ぶ飛行機の発着点としてだけでなく、多彩なイベントの会場や学習の場、交流の拠点としても活用されてきた。「福島に多くの人が来てくれるよう地元の空港を盛り上げたい」。30年の節目に、さまざまな活動で空港を利用する関係者は思いを新たにしている。

 福島空港ターミナルビルの一角に、浪江町の伝統工芸品・大堀相馬焼がずらりと並び、大勢の来場者でにぎわいを見せた。今月開かれた新作展示会には、避難先に拠点を移して制作を続ける6窯元が参加した。展示会は、東京電力福島第1原発事故により窯元が避難した2011(平成23)年以前から開かれている。「(空港では)浪江から避難している昔なじみとも再会できるし、県中、県南、いわきから買いに来てくれる人もいる。空港がさらに活気づいて県外の人も来てくれればうれしい」。出展した大堀相馬焼協同組合理事長で春山窯(本宮市)代表の小野田利治さん(61)は期待を寄せた。

 県のほぼ中央に位置し、多くの人が行き交う福島空港。全国各地の物産展やフェア、工芸品の展示会など年間30件を超えるイベントが開催されている。担当者は「空港で地場産品などを見てもらうことで実際の飛行機の利用促進にもつなげたい」と思いを語る。

 空港は、地域の学校が日頃の学びを実践する場所でもある。地元の岩瀬農高は本年度、学内で育てた花や野菜などを売る「岩農WEEK」を空港で5回開き、農作物を販売した。環境工学科の生徒らは、空港内を観葉植物で彩る屋内緑化の活動に取り組んだ。屋内緑化に当たり、生徒らは空港内の気温や湿度、日当たりなどを考慮して植物を配置した。同科2年の山中謙吾さん(17)は「自分たちで考えながら空港を明るくする活動ができて満足感があった」と振り返る。同科の渡部耕司教諭(52)は「県内外から多くの人が訪れる場で実践的な緑化を学べるのは、生徒にとって大きな意義がある」と強調する。

 大阪との絆強める

 地域の団体は、空港の利用活性化に向けた取り組みを展開している。須賀川商工会議所や地域の商工団体などでつくる「福島空港と地域開発をすすめる会」は17年から、大阪線の利用拡大に向けた地域間交流会を開催。大阪の商工関係者を招いて福島空港を拠点に本県や日光市(栃木県)などの観光地を案内することで、北関東を含む地域へのアクセスの良さを伝えてきた。

 交流会は新型コロナウイルス感染症の影響で数年開催を見送っていたが、感染症の状況を見て再開を検討している。同商議所の担当者は「25年には大阪・関西万博も開かれる。大阪との結び付きを強め、福島にもたくさん人が訪れるような取り組みを展開したい」と力を込めた。