子どもの居場所、家庭外に増やす 福島県が運営団体の支援強化

 

 県は新年度、「子ども食堂」をはじめとする家庭以外の子どもの居場所を設置・運営する団体などへの支援を強化する。運営経験者や専門家による研修会、アドバイザーの派遣などを通して子どもの居場所を運営する団体の基盤を下支えする。新たに設置を検討する団体の活動も後押しすることで、支援が必要な子どもの受け皿を増やして「空白地域」を解消したい考えだ。

 県によると、県内の子どもの居場所は今年1月時点で129カ所。2021年7月時点の82カ所から約1年半で47カ所増えた。設置場所の地方別内訳は、県北53カ所、県中36カ所、いわき市と会津が各13カ所、県南11カ所、相双3カ所。市部を中心に設置数が増えている一方、郡部では設置されていなかったり、数カ所にとどまったりと伸び悩んでいる。

 このため新たに県が開く研修会は、子どもの居場所の設置を考えている団体に加え、市町村の担当者も対象にする。運営経験者を講師に招いた研修で空白地域となっている自治体などに理解を深めてもらい、子どもの居場所を設けやすい環境をつくる。県は「子どもの居場所がない地域でも団体の支援に取り組んでもらいたい」(こども・青少年政策課)としている。

 既に運営されている子ども食堂などでも活動の継続性が重要となることから、運営団体向けにも、子どもの居場所の設置団体への支援実績がある専門家などによる研修を行う。県はこれらの支援を通して運営資金獲得のノウハウなどを身に付けてもらい、継続的な運営を図っていく方針だ。

 県は子どもの居場所について、子どもの支援や生活状況の把握だけでなく、見守り体制の確立にもつながるとみている。このため子どもの居場所を設置する場合、初期費用の補助なども継続する。県は「子どもの居場所が増えていくことはありがたい。運営を継続してもらうことが重要で、研修会でノウハウを学んでほしい」(同課)としている。