「5類接客」...戻った笑顔 星野リゾート「脱マスク」もてなし

 
笑顔で宿泊者を見送る正木支配人(左)、スタッフの小松さん=磐梯町・磐梯山温泉ホテル

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行した8日、県内のホテルや飲食店、小売店などは3年ほど続いた感染対策を見直し、接客に追われた。従業員のマスク着用などは判断が分かれており、当面は様子見しながらの対応が求められそうだ。

 「ようやくこの日を迎えられてうれしい」。磐梯町にある磐梯山温泉ホテルの支配人、正木詢也さん(26)は声を弾ませた。館内ではマスクを外して宿泊客を見送るスタッフの姿があった。

 運営する星野リゾート(長野県)が8日に合わせ、全国でスタッフのマスク着用を撤廃した。これまでは屋内か屋外かなど、接客の状況や施設ごとで判断していたが、今後はマスクを着用せずに接客していく。

 いつも白虎隊の衣装で宿泊客の見送りをしているスタッフの小松里沙さん(23)は「やはり目だけでは表情が伝わりづらい。顔全体で歓迎する気持ちが出せるので、これまで以上に仕事が楽しめる」と話した。

 「特に違和感ない」

 館内ではマスクを外して過ごす宿泊者も増えているため、スタッフのマスク撤廃も「特に違和感なく受け入れられているのではないか」と広報担当者は話す。今後はやぐらを囲んでスタッフと宿泊客が一緒に盆踊りをする夕食後の恒例イベントを毎日開催するなど、コロナ禍では実現しづらかった体験型のイベントも次々に企画していく予定だ。

 入り口では消毒

 基本的な感染対策を続けるところも多い。いわき市を中心にスーパーなどを展開するマルトは、店舗出入り口の消毒やレジのパーティションの設置、従業員のマスク着用などはこれまでと同様に続ける。感染対策を担当している人事部長の根津貴昭さん(57)は「高齢のお客さまや子連れのお客さまが特に多いので、今後も安心して買い物ができる環境をつくる」と話した。

 定食チェーン「旬菜うちごはん 菜々家」などを展開するイズムフーズ(郡山市)も検温や店員のマスク着用、カウンター席のパーティション設置などの対策は当面継続する考えで、「感染対策などを気にする方がまだおり、対策は続ける」とした。

 ホームセンターを展開する「ダイユーエイト」(福島市)も基本的な感染対策を続けるが、8日から来店者向けに感染対策を周知する店内放送、床に貼り付けていたソーシャルディスタンス(社会的距離)確保の掲示物を取りやめるなどの対策を緩和した。福島黒岩店で店長を務める鈴木武彦さん(41)は「コロナ禍から脱却する中、売り場も社会の需要に合わせた品ぞろえをしていきたい」と話し、今後の状況を注視しながら店舗づくりに取り組む考えだ。