部活の地域移行、具体化は11市町村 29市町村で見通し立たず

 

 公立中学校の休日部活動の「地域移行」に向けて県内で本年度、外部指導者による指導や試行も含めた合同練習会の開催などを計画するのは11市町村にとどまることが11日、福島民友新聞社の調べで分かった。残る48市町村でも検討は進むが、受け入れ先の確保が難しいことや保護者の負担増につながることなどから実施の見通しが立っていない自治体が多く、改めて地域移行に向けた課題が浮き彫りになった。

 部活動の地域移行を巡っては、スポーツ庁などが本年度から3年間を地域移行に向けた改革推進期間に位置付ける。地域移行に向けた検討を続ける48市町村のうち、10市町村は地域スポーツ団体などとの協議会を設けて来年度以降の早期移行に向けた話し合いを進めており、協議が進めば年度内の前倒しを検討している自治体もある。9市町村は年度内に協議の場を設ける見込みだ。

 残る29市町村は現時点で地域移行の見通しは立っていない。人口が少ない町村や東京電力福島第1原発事故の被災自治体なども含まれ、部活動の受け入れ先がないなどが大きな理由だ。外部指導者が競技を専門的に教えられるかや、生徒を送迎する保護者などへの負担なども懸念として挙がっており、郡単位など広域での話し合いを持ちたいとする声もあった。今後は、生徒へのアンケートや地域スポーツ団体の意見を踏まえ、方向性を模索していくとする市町村が多くなっている。

 また教員の負担軽減に関しては、学校を貸し出す場合に鍵を管理したり、使用時間を把握したりする必要があり「管理職が施錠確認などに当たらなくてはならず、責任がさらに重くなるのではないか」(新地町)との指摘もあった。

 地域移行に向け県教委は本年度、会津若松、喜多方、川俣、三春の4市町をモデルに実践研究に取り組む。このうち、2021、22年度に国のモデル地区にも採択された会津若松市では、剣道や卓球などで外部指導者による週末合同練習会を開いてきた。参加者からは「部活で教えてもらえないことが練習できて楽しかった」などの声があったという。三春町は22年度、学校に指導者を紹介する「人材バンク」を設けて登録者を募集。地域のスポーツ少年団の指導者ら8人が登録し、2人が本年度から女子バスケットボールを指導するなど効果が表れているという。

 県教委が支援へ

 県教委は今後、市町村教委の実態に応じた支援に取り組む考えで、6月には「部活動の地域移行に関する協議会」を設けて課題などを検討する予定だ。また、7月には市町村が情報交換できる機会もつくる予定で「生徒がやりたいことをできる環境を整備していきたい」(健康教育課)としている。文化部活動の地域移行の体制整備についても本年度、モデル地区を指定して取り組みを加速させたい考えだ。

 本年度に地域移行を具体化する11市町村

 福島市、会津若松市、喜多方市、川俣町、下郷町、金山町、石川町、平田村、三春町、広野町、浪江町