幸楽苑HD、新井田傳氏が社長復帰 3月期連結、赤字28億円超

 
(左から)新井田昇氏、新井田傳氏

 幸楽苑ホールディングス(HD、郡山市)は15日の取締役会で、新井田昇社長(49)が退任し、後任に創業者の新井田傳(つたえ)相談役(79)が就く役員人事を内定した。同HDは同日発表した2023年3月期連結決算の純損益で28億5800万円の赤字を計上しており、業績悪化が社長交代につながったもようだ。約4年半ぶりの社長復帰となる傳氏は会長を兼務する予定で、6月23日の株主総会、取締役会で正式決定する。

 社長交代について、同HDは「外食産業の厳しい経営環境が続いており、当社の発展のために創業者の復帰が最善と判断した」としている。昇氏は取締役も退任する予定。

 傳氏は21年6月に同HDの会長を退任し相談役に就いたが、今年2月にラーメン店を展開する子会社・幸楽苑の会長に就任し、約1年8カ月ぶりに経営の第一線に復帰していた。

 同HDは、新型コロナウイルスの影響や原材料高騰などを受け業績が悪化。22年3月期は純損益で3期ぶりの黒字を計上したが、新型コロナの助成金が大幅に減った23年3月期は不採算店舗に関する固定資産の特別損失を計上した影響もあり、大幅な赤字となった。

 傳氏の長男である昇氏は会津若松市出身。慶大経済学部卒。三菱商事を経て03年に入社、取締役海外事業本部長などを経て18年11月に社長に就いた。「1人焼き肉」のファストフード店「焼肉ライク」などとのフランチャイズ契約を通じて不採算店舗の業態転換などを進めたが、新型コロナなどの影響もあり業績回復には至らなかった。

 傳氏は同市出身。会津高卒。実父の司氏が会津若松市に開いた「味よし食堂」を引き継ぎ、1967年に「幸楽苑」に改称、70年11月に株式会社に改組して店舗網を拡大した。2003年に東証1部に上場、15年7月に持ち株会社に移行した。今年3月末のグループ店舗数は431店舗。