「売り上げ回復に遅れ」 幸楽苑、人件費や原材料高騰で赤字
幸楽苑ホールディングス(HD、郡山市)が15日発表した2023年3月期連結決算では、純損失28億5800万円(前期は3億7400万円の黒字)を計上、2期ぶりの赤字となった。人手不足による人件費上昇や原材料高騰などが要因で、同社は「売り上げ回復が想定よりも遅れた」としている。
売上高は254億6100万円(前期比1・8%増)、経常損益は15億2800万円の赤字(前期は14億5200万円の黒字)。売上高はラーメン事業が前期比1・4%増、業態転換店舗などの「その他の事業」が同4・6%増といずれも伸びたが、人手不足の影響を受けた人件費上昇など店舗運営コストの上昇を吸収するまでには至らなかった。
24年3月期は売上高260億円、経常利益1億2千万円、純利益2千万円を見込む。同社は「定番メニューの絞り込みによる原点回帰を推し進め、店舗運営の効率化と生産性向上を行う。不採算店舗の退店も進める」としている。
3月期特別損失計上
幸楽苑HDは15日、23年3月期で特別損失を計上したと発表した。不採算店舗の固定資産に関して減損損失8億3900万円、子会社幸楽苑の債権に対する貸倒引当金24億9800万円をそれぞれ計上した。このため23年3月期連結決算などについて「公表した予想値と実績に差異が生じた」とした。また、役員退職慰労金の辞退に伴い特別利益2億7566万円を計上した。社長就任が内定した新井田傳(つたえ)氏が21年の退任時に本人の申し出により、業績回復まで支払いを延期していたが、受け取り辞退の申し出を受けて計上した。