福島県産米、県外の認知度向上へ 推進会議、業務用の消費拡大

 

 県や農業関係団体などでつくる県米消費拡大推進会議は本年度、県内での県産米の消費拡大と県外での認知度向上の取り組みを強化する。県内消費割合が依然7割にとどまり、オリジナル米の県外認知度は1割に満たない現状を踏まえ、小麦の代替品として注目される米粉を含むレシピの募集や回復傾向にある業務用米の消費拡大に取り組む。

 15日に県庁で開いた会合で示した。県民を対象に米粉とおにぎりのレシピコンテストを行うほか、昨年度に量販店で始めた県産米の購入に応じて県産品が当たるキャンペーンを拡充。県産米のデリカ商品など中食向けにも対象を広げる。

 推進会議が1月に実施した県産米消費実態調査によると、県内では昨年、10万7千トンのコメが消費されたが、県産米の占める割合は70%(前年比4ポイント増)と推計される。コロナ禍の影響が和らぎ4年ぶりに7割に回復したが、県は「他県と比較するデータはないが、決して高くはない」(農産物流通課)とみており、他県産米が置かれている販売棚の獲得や消費量が回復傾向にある業務用需要の喚起に取り組む方針だ。

 一方、実態調査では、首都圏における県産米の認知度はトップブランド米「福、笑い」が7.6%(前年比1.4ポイント増)、オリジナル品種「天のつぶ」が4.6%(同1.1ポイント減)で、購入経験は「天のつぶ」が1.9%(同1.3ポイント減)、「福、笑い」が1.3%(同0.6ポイント増)にとどまった。推進会議は「福、笑い」をけん引役にブランドイメージを発信して認知度を上げ、購入に結び付ける取り組みを進める方針だが、人口減に伴うコメの需要低下や産地間競争の激化が進む中で現状は厳しいという。

 会合では「天のつぶ」などの品種ついて「飼料用米や備蓄米に振り分けられ、主食用に回ってくるのがごくわずか。思うように福島のコメを調達できていない現状もある。もっと量を確保できれば認知度が上がる」、「福、笑い」など高価格帯のブランド米については「(物価高騰によって)消費者の節約志向が高まる中、他県産も含め販売が苦戦している」などの意見も出された。