水揚げ震災前7割目標 相双漁協・沖底船、宮城沖で操業再開へ

相馬双葉漁協所属の沖合底引き網船(沖底船)は今年の漁期(9月~翌年6月)からの5年間で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故により落ち込んだ水揚げ量を70%まで回復することを目指す。目標達成に向け、宮城県の漁業者と互いの沖合で操業し、漁場となる海域を拡大させる。
国の漁業・養殖業復興支援事業に関する協議会が23日、東京都内で会合を開き、宮城県沖での操業再開などを盛り込んだ漁業復興計画の改定案を認定した。9月から宮城県沖での操業が再開される見通しだ。
23隻が計画に取り組む。震災前の2010年と比べて21年に42%まで戻った水揚げ量を段階的に増加させるとし、27年の目標を3360トン(70%)に設定した。
漁場の高度な資源管理を実現するため、情報通信技術(ICT)を新たに導入する。タブレット機器や漁網用水温計を活用し、収集したデータを研究機関が解析することで資源管理に役立てる。
新造船の導入など水揚げ拡大に向けたこれまでの取り組みに加え、担い手の定着を促すため、操業時間などを見直して魅力ある労働環境づくりを進める。
沖底船の水揚げ量は18年時点で震災前の2割余りにとどまっていた。このため20年から漁業復興計画に取り組み、従来の計画では24年に震災前の6割程度に引き上げるとしていた。計画の認定に伴い、県漁連は国の支援を受けながら新たな取り組みに着手する。
いわき地区59%目指す 復興計画
いわき市漁協などに所属する沖合底引き網船(沖底船)と小型底引き網船(小底船)計18隻は今年の漁期(9月~翌年6月)からの5年間で、水揚げ量を東日本大震災前の2010年と比べて59%まで回復することを目指す。
いわき市、小名浜機船底曳、相馬双葉(富熊地区)の3漁協の沖底船、小底船でつくる「いわき地区底びき網部会」の漁業復興計画が、23日の国の漁業・養殖業復興支援事業に関する協議会で認定を受けた。同部会の計画認定は初めて。
計画に参加するのは3漁協の沖底船、小底船18隻。震災前の水揚げ量は18隻合わせて1753トンに上ったが、21年の時点で震災前の35%にとどまっている。計画の4年目となる26年には震災前と比べて50%以上に回復したい考えだ。
目標の実現に向け、年間水揚げ日数や引き網の回数も増やす計画だ。新船1隻を新たに導入するほか、相馬双葉漁協と同様にタブレット機器やデジタル操業日誌など情報通信技術(ICT)の導入による資源管理に取り組む。関係機関と連携したセミナーや研修などで乗組員の確保も図る。