韓国側、処理水の評価公開へ 第1原発視察 請求資料の確認後に

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、韓国の専門家らでつくる視察団は25日、都内で経済産業省や原子力規制委員会の担当者らとの総括会合を開き、一連の日程を終えた。団長を務める韓国原子力安全委員会の劉(ユ)国煕(グクヒ)委員長は終了後の取材に「停電時の対応などの資料を追加請求した。その確認などを進めた後、総合的な安全性の評価内容を公開する」との見通しを示した。

 一連の視察は、政府間の取り決めで全日程が非公開。経産省によると、放出に関する設備の安全性を確認するため、技術や科学的な議論に終始した。日本側は「(放出に)理解を深めてもらえるよう説明を尽くした」と強調。海洋放出に根強い反発が残る韓国内で、視察が今後の理解醸成につながるかが注目される。

 視察団は原発や放射線分野の専門家ら21人で構成。21日に来日、23、24両日は福島第1原発を訪問し、汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)や、処理水を保管するタンク、取水設備、異常が発生した際に放出を停止する緊急遮断弁など、処理水の希釈放出設備を中心に確認した。

 韓国は、国際原子力機関(IAEA)が6月末までに公表を予定する安全性に関するレビュー(評価)を踏まえ、立場を明確にする考え。日本は、韓国側から追加の要望があった場合、必要な情報などを提供していくという。劉氏は「ALPSは最も重要な設備の一つ。性能に加えて長期間の管理計画についても資料を求めた」と述べた。

 視察団を受け入れた東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は25日の定例会見で「韓国内の理解につながるよう真摯(しんし)に対応した。視察団から質問などあれば引き続き丁寧に対応していく」と語った。