処理水海洋放出の開始時期、週明けにも判断 22日に閣僚会議か

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出計画を巡り、政府は週明けにも放出の開始時期を最終判断する方向で検討に入った。放出関連設備の安全性や漁業者への説明などを踏まえ、早ければ22日にも関係閣僚会議を開き、今月下旬~9月前半とされる放出開始を決める方向で調整している。政府関係者らが明らかにした。

 訪米を前に17日、羽田空港で記者団の取材に応じた岸田文雄首相は、放出計画について「今現在、具体的な時期やプロセスについては決まっていない」と述べた上で、放出時期に関して「夏ごろ」とする従来の方針に変更はないとし「安全性の確保や風評被害対策の取り組みの状況を政府全体として確認して判断したい」と語った。

 放出開始の期限が迫る中、政府は反対の姿勢を堅持する漁業者の理解醸成に向け、西村康稔経済産業相ら関係閣僚が本県を中心に説明を続けてきた。漁業者側は依然として放出反対の姿勢を崩していないが、7日に岸田首相が「漁業者との信頼関係は少しずつ深まっていると認識している」と一定の手応えも示した。

 政府は、岸田首相が帰国する19日以降、放出時期を判断するための最終的な調整に入る考えだ。放出前には全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長との面会や県などにも処理水放出について直接伝える機会を設ける方向で検討している。

 処理水放出を巡っては、中国が日本からの輸入海産物について全面的な放射性物質検査を導入するなど国際社会の一部からは反発も出始めている。岸田首相は17日からの訪米中、日米韓首脳会談などに臨む。国民の間に放出反対の声が根強い韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領とも個別に会談する予定で、処理水の放出に向けた理解を求める考えだ。