天栄の羽鳥ダム、水不足で供給停止 コメ作りへの影響懸念

 
貯水率の低下を受け、水の供給を停止した羽鳥ダム。普段は見ることのない石垣や橋があらわになっている=18日午前

 県南7市町村の農地約3200ヘクタールに農業用水を供給している「羽鳥ダム」(天栄村)は18日、貯水率の低下を受け、今季の水の供給を終了した。水が欠かせないコメ作りへの影響を心配する農家からは、品質の低下や収穫量の減少などを懸念する声が聞かれた。

 羽鳥ダムの貯水率は同日午前8時現在で16.4%。水を供給できる「水利権」は9月10日までだが、水不足により3週間ほど期間を残し、供給を終了した。水位が下がったダムでは、普段は水の中にあって見ることのできない石垣や橋があらわになっている。

 今季は、供給開始当初から例年より水が少ない状況だった。昨冬の少雪などが影響し、供給を始めた5月上旬時点の貯水率は87%。その後も雨が降らない状況が重なり、貯水率が大きく低下した。

 羽鳥ダムを水源とする農業用水を管理する矢吹原土地改良区(矢吹町)によると、供給停止により、約1800世帯のコメ農家に影響が及ぶという。佐藤幸一郎副理事長(76)は「よほどの大雨が降らない限り、今後の供給は不可能だ」と深刻に語った。

 矢吹町でコメ作りをしている斎藤常治さん(76)は「今まで稲は順調に育っていた。日照りが続くとコメの品質や収穫量が心配だ」と不安を吐露。今月末までは稲の生育のため、最低でも水田は湿らせた状態でいたいが、水田の用水路に水が流れてこないため「せめて雨が降ってもらいたい」と話している。