伝統豆普及へ修明高生の挑戦 小学校や企業も巻き込み拡大目指す

修明高の生徒が、インゲンマメに似た棚倉町に伝わる「白ささげ」や、町の歴史と関係している「十六ささげ」の栽培に取り組んでいる。栽培農家が減少傾向にある中、貴重な種子の遺伝資源を育てて後世に伝えていくためだ。自家採種の栽培に力を入れるほか、地元の小学校や企業を巻き込んで普及拡大を図る。
「白」と「赤」2種類
「中学校の応援歌に『十六ささげ』という歌詞があったが、当時は何のことか分からなかった」。修明高地域資源科1年の緑川慶太さん(15)は振り返る。これまでの取り組みの中で町の歴史と関係していることが分かり「こういうものがあることをもっと知ってほしい」という思いが芽生えた。
十六ささげは戊辰戦争で新政府軍に恐れられた棚倉藩の少数精鋭部隊「十六ささげ隊」の名前の由来になったといわれる。十六ささげは実が熟すと赤褐色になり、いきなりはじけ飛ぶという性質があり、夜闇に敵を襲うゲリラ戦を得意とする十六ささげ隊の戦いざまと似ているからだ。
白ささげはインゲンマメの仲間で、白くて大きく、甘い実が特徴。同校によると、棚倉周辺ではかつて赤飯の小豆代わりに白ささげを混ぜ込み、「白飯」として葬式などで食べられたという。だが、農家の減少などもあり、今では白ささげを町内で栽培している農家は数軒程度。茨城県の遺伝資源研究センターに保管されるなど、希少なものとなった。
こうした町と深いつながりを持つ種子の遺伝資源を絶やさないようにと、同校は同センターから数粒を譲り受け、2021年に栽培を開始。どんな性質があるか調査をしながら栽培し、1年で数十倍の種子を採ることに成功した。
また、町内の小学校などに足を運び、児童らと苗を植える活動を行った。地域資源科1年の星和志さん(15)は「ただ育てるだけではなく、種子に興味を持ち、知ってもらうことが目的」と話す。成長するとつるが長く伸びる十六ささげの性質を利用し、植物で建物の壁などを覆うグリーンカーテンとしても児童らに親しんでもらう考えだ。星さんは「より多くの人に知ってもらえるよう、大切に育てたい」と意気込む。
共同で商品開発へ
このほか、白河市の山口こうじ店と共同で白ささげと十六ささげを使ったあんこの商品開発も考えている。同店専務の山口和真さん(28)は「試作はこれからだが、十六ささげの赤と、白ささげの白で紅白になり、城下町にあった縁起物として面白い商品ができそう」と、町の新たな特産品の誕生に期待を寄せる。(伊藤大樹)
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ササゲ インゲンマメの仲間で直径1センチほどの豆。アフリカ原産で国内でも古くから栽培されている。漢字では「大角豆」と表記される。
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