理解...本当に進んだか 処理水海洋放出、政府は長期的な支援を
【解説】東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出が24日から始まる。懸念される風評被害や国際社会の反発など、30年以上とされる放出の影響を最小限に抑えるためには、政府の長期的な支援と国内外への継続的な説明が求められる。
処理水は、原発の汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理し、除去が難しいトリチウム以外の放射性物質を取り除いたものだ。原発構内にたまり続け、廃炉作業の大きな障害の一つとなっている。この処理水を海水で国の基準の40分の1未満に薄めて海に流す計画は、当初から漁業などへの風評被害が懸念されてきた。
政府や東電は、風評対策などの基金や賠償基準をつくり、漁業者を中心に説明を続けてきた。県内漁業者は説明に耳を傾けてきたが、依然として放出には反対の姿勢だ。原発事故で操業不能となり、2021年にようやく本格操業に向けた移行期間に入ったばかり。将来的に漁業を続けていくことができるのか。安全性を理解することはできても不安を完全に払拭することは難しいだろう。
国際的にはすでに中国が日本産水産物の輸入規制を強化するなど、放出をけん制する動きが出ている。政府は15年に漁業者と「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」との約束を交わした。岸田文雄首相は放出開始を前に「一定の理解を得られた」と語ったが、22日に国の報告を受けた県漁連の野崎哲会長は「現時点で約束は守られてはいない。ただ破られてもいない」と述べるにとどまり、両者に残る溝は浮き彫りになったままだ。
県内には、漁業者以外への説明も不十分だとの声も多い。本当に関係者の理解は得られたのか。放出開始後も国の責任は問われ続ける。(白坂俊和)
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