初年度、総量の2%放出 東京電力、安全確保へ2段階「手順」
東京電力は、福島第1原発の処理水海洋放出について、当面は放出に慎重を期するため、トリチウム濃度を確認した上で、連続した放出につなげる2段階の放出手順で安全性を確保する。22日に公表した放出計画によると、本年度の放出量は約3万1200トンを予定しており、現時点で原発構内にたまっているとされる処理水総量約134万トンの約2.3%にとどまる見通しだ。
24日に始まる初回の放出は、延べ17日間で約7800トンの処理水を海水で国の基準を下回る1リットル当たり1500ベクレル未満に希釈して放出する。1日当たりの放出量は約460トンになるという。東電は22日から約1トンの処理水を約1200トンの海水で希釈して貯留用の水槽にためる第1段階の作業に着手しており、放射性物質検査でトリチウムの濃度が基準を下回っていることが確認できれば、24日に実際に海への放出を始める予定だ。放出の可否や開始時間などは天候や海の状況などを踏まえ、当日朝に最終判断する方針。
東電は年度内に計4回の放出を予定しており、海に放出される処理水のトリチウム総量は約5兆ベクレルとなる見通しだ。放出の安全性確保のため3回目の放出までは初回同様、2段階の手順を踏んで放出する。原発構内には処理水を保管する1000基超のタンクがあり、初年度に減る処理水は「タンク10基分程度」(松本純一東電福島第1原発廃炉推進カンパニーALPS処理水対策責任者)と試算しており、廃炉作業への影響はわずかとみられる。東電は初年度の放出を踏まえ、来年度以降、さらに放出量を増やしたい考えだ。放出に関する情報は24日以降、処理水に関するホームページで公表していく方針。