充填材使いデブリ固める 取り出し小委、気中工法オプション検討
東京電力福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の大規模な取り出し工法を検討する原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)燃料デブリ取り出し工法評価小委員会は22日、3号機で検討している工法について充填(じゅうてん)材を使ってデブリなどを固める「気中工法オプション(RPV充填固化)」を候補の一つに加えて検討を進めていることを明らかにした。小委員会は検討している三つの工法の評価を進め、2024年春ごろをめどに検討結果を取りまとめる方針。
気中工法オプションではコンクリートなどの充填材を使用することを想定。デブリなどを固定することで大規模な崩落などを防げたり、ダスト拡散が抑制されたりすることが期待される。充填材で固まったデブリや構造物を掘削装置で粉砕して回収する。人が作業をする場所の放射線量の低減にもつなげることができるという。一方、充填手順の検討や、大量の充填材を全て放射性廃棄物として扱うなどの課題があるという。
小委員会ではこのほか、原子炉建屋全体を巨大な水槽のような構造物で囲って建屋ごと水没させる「冠水工法」や、空気中で取り出す「気中工法」を候補にしている。いずれの工法も長所と短所があるため総合的に比較、検討を進める。3号機で使用した工法は、1、2号機での取り出しにも生かすとしている。オンラインで記者会見した更田(ふけた)豊志委員長は工法の優劣は現時点で評価できていないとし「取りまとめでは順位付けしたい」と述べた。