心に寄り添う1万発...釈迦堂川花火 26日、須賀川で4年ぶり開催

 
4年ぶりの釈迦堂川花火大会に向けて意気込む糸井さん(左)ら

 糸井火工150年の節目に

 須賀川市の夏の風物詩「第42回釈迦堂川花火大会」が26日午後7時から、市民スポーツ広場を打ち上げ会場に4年ぶりに開かれ、約1万発が夜空を焦がす。花火を打ち上げるのは、今年創業150年を迎えた糸井火工(須賀川市)。新型コロナウイルス禍を乗り越え、待ちに待った地元の大会復活に社長の糸井秀一さん(43)は「人の心に寄り添った花火を届けていきたい」と情熱を燃やす。

 新型コロナの流行が始まった2020年、夏祭りや花火大会は軒並み中止に追い込まれた。「このままでは花火文化がなくなってしまう」。危機感を覚えた糸井さんは同6月、新型コロナ収束の願いを込めて全国で一斉に花火を打ち上げるプロジェクトに参加。21、22年には大型連休に合わせ全国各地で打ち上げる「花火駅伝」にも携わった。

 伝統の灯絶やさず

 密集を避けるために、打ち上げ場所を周知できないといった制限もあったが、伝統の灯を絶やさずにつないできた。糸井さんは「笑顔になる人、涙を流す人。花火は、見る人の心の形に変化して届くことを改めて実感した」と振り返る。

 新型コロナの感染症法上の分類が5類に移行した今夏は各地で夏祭りや花火大会が再開された。同社も忙しい毎日が続き、7~8月は県内外約50カ所で約4万発の花火を打ち上げた。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻で大部分を輸入に頼る火薬が手に入りにくくなり、花火の価格を4~5割値上げした。「課題がある中でどう楽しんでもらえるかが重要」と糸井さんは工夫を凝らして製作に励む。

 地元の大会で節目の夏を締めくくる。「伝統を守りながら革新を続け、さらに成長していきたい」。150年の集大成とともに、古里の夜空に大輪の花を咲かせる。(千葉あすか)

 当日の有料観覧席3700円

 当日の有料観覧席は椅子席B・Cが3700円。市などでつくる実行委は31日まで、インターネット上で資金調達を図るクラウドファンディングを展開し、運営費を募っている。専用サイト「キャンプファイヤー」から申し込む。問い合わせは実行委事務局(電話0248・88・9144)へ。