浜通り、処理水放出後初の水揚げ 市場は通常運転...安堵の表情

東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出が始まってから一夜明けた25日、県内沿岸部では通常通り漁や競りが行われた。放出開始が24日午後だったため、今回が放出後初めての漁となった。競り場や市場には風評に起因する大きな影響は見られず、県内の関係者に安堵(あんど)の表情が広がった。
「おいしい常磐もの届ける」
いわき市の久之浜漁港では午前7時過ぎ、漁船や漁業者のトラックが入り、水揚げされた海産物が次々と運び込まれた。「常磐もの」と呼ばれる県産海産物の中でも人気のヒラメをはじめスズキや伊勢エビなどが生きたまま籠で選別され、準備が整うと鐘の合図で競りが始まった。市内10人ほどの仲買人が目当ての魚を買い付けた。
「おいしい常磐ものを多くの消費者に届けるためやっていくだけ」。競りに参加したいわき市の水産加工会社「海宝水産」社長の島信幸さん(53)は力を込める。東日本大震災後、浪江町から同市に工場を移転再建し、ようやく軌道に乗った。こうした状況での海洋放出に思うところはあるが、検査で安全性が証明されている魚に自信を持つ。
仕入れた魚は東京・豊洲市場に出荷され、通常通り取引が行われたという。島さんは処理水の海洋放出について「安全と証明されているはず」と冷静に捉えつつ「最終的な判断は消費者。これまで通りやっていきたい」と表情を引き締めた。
競りの様子を見守ったいわき市漁協指導課長の長谷川靖浩さん(44)も「処理水の放出で価格が大きく変わることはなかった」と胸をなで下ろす。市漁協には各地から「応援したい」との声も届いているといい、長谷川さんは「科学的に安全ということを今後も伝え続けたい」と語った。
相双価格通常通り、いわきは高値傾向
25日は相馬双葉漁協では管内二つの漁港から計18隻が出漁。いわき市漁協は七つの漁港から計35隻が出漁し、ヒラメやマダイ、スズキなど約1トンずつを水揚げした。相双地区の競りは、ほぼ通常通りの価格帯で取引された。いわき市では前日より1~2割ほど高値傾向だったが、市漁協は「水揚げ量が少なかった影響」とみている。
県水産海洋研究センターが25日にまとめた漁海況速報によると、9~23日の県内の魚の平均単価に大きな変化はなかった。処理水の放出が始まった24日以降の状況については、来週末にもまとめる予定。
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