山林開発の太陽光施設「望まない」 福島市...景観維持、宣言策定へ

 

 福島市は大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の新設について、森林伐採や用地造成による影響が懸念される開発を抑制する方針を明確化する。災害発生が危惧され、景観が損なわれる山地へのメガソーラー設置を「これ以上望まない」とする宣言案をまとめ、25日の環境審議会で示した。今秋の早期策定を目指す。

 宣言案には「設置計画には市民と連携し、実現しないよう強く働きかける」との文言も盛り込んだ。

 市は自然と景観を次世代に守り継ごうと、2019年10月に太陽光発電施設の設置に関するガイドラインを策定し、事業者に法令順守や地域住民らとの調和を求めている。必要に応じて職員が現場に立ち入る形で行政指導を行っている。

 一方、林地開発の許可を得るなど適法な手続きを経てメガソーラーが整備された結果、景観が損なわれているケースもあり、現行のガイドラインだけで歯止めをかけるのは難しい。

 市によると、市内のメガソーラーは建設中を含め26カ所。高湯温泉に近い同市在庭坂の先達山では広範囲にわたり森林が伐採され、春ごろから山肌がむき出しになったため、市環境課に景観悪化を指摘する声が寄せられているという。

 同課の担当者は「既に許可を受けて進められているものを止めることはできないが、今後は平場を活用した太陽光発電施設の導入を促したい」と説明した。環境審議会の委員からは宣言案を評価する一方で「実際に環境破壊が起きており、もっと早く対応するべきだった」との意見も出た。

 メガソーラーを巡る県内自治体の対応では、大玉村が19年6月に設置を「望まない」とする宣言を県内で初めて策定している。