飲食店には1000件超...福島県内で中国発の迷惑電話 処理水抗議か
東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出開始後、抗議とみられる電話が相次いでいる問題で、中国から発信されたことを示す国番号「86」で始まる番号からの「迷惑電話」が県内の飲食店や旅館、自治体など幅広い業種で確認され、関係者が対応に苦慮している。県警は26日、知らない電話番号や番号非通知の電話に出ないようにするなどの対応を呼びかけた。
「笑いながら『ショリスイ』『カク』などとまくし立て、最後には怒鳴って切られた。ちゃかしているようだった」。ラーメン店などを展開するエフスリーインク(二本松市)社長の山本一平さん(42)は、日本語を交えて話した男からの電話を振り返る。
処理水の放出開始から一夜明けた25日朝から、店舗に電話がかかってくるようになった。着信拒否を繰り返しても別の番号からかかり続け「1分置きに来た。(累計は)1000件じゃ済まない」。電話が最も多かった福島市の店舗では業務に支障が出ることや来店客への配慮から電話線を抜いたという。26日も朝から電話があり、同様の対応をした。
通常は店の場所や営業時間を尋ねる電話があるためつながらない状態にするのは苦渋の判断だが、山本さんは「相手にしないのが一番。『常磐もの』をおいしく食べるし、福島のおいしい食材をラーメンに使う姿勢は曲げない」と毅然(きぜん)と語った。
一方、県北地方の菓子製造会社には25~26日に複数回、片言の日本語を話す男から「バカヤロウ」などと電話があった。全て「86」で始まる番号で、留守電も入っていた。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和され、店には中国からの予約や問い合わせが実際にあるといい「迷惑電話と決めつけて『86』からの電話に出ないわけにはいかない」(担当者)と思い悩む。
相馬市の船橋屋製菓には24日から「86」で始まる番号からの電話が複数回あった。広報担当者は「殺到というほどではないが、履歴を見ると深夜にもかかってきているようだ。やめてほしいの一言だ」と困惑した様子だった。
福島市の木幡浩市長は26日、自身のフェイスブックで、市役所に約200件の「嫌がらせ電話」がかかってきたと明らかにした。小中学校、ホテルや旅館にもあり「多いところは1事業所だけで100件以上」とした。多くが中国の番号だとし、政府に対応を求めた。
県警が注意呼びかけ
県警は、電話がかかってきた人から相談を受け、自治体と連携して実態把握に努めており「必要な調査・捜査を行う」としている。その上で、県民に〈1〉身に覚えのない電話番号や番号非通知の電話には出ない〈2〉固定電話の場合はかかってきた知らない番号を「迷惑電話おことわりサービス」に登録する〈3〉携帯電話の場合は国際電話の受信の一括拒否を設定する―よう促した。
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