横領疑いで楢葉町元職員の男逮捕 農業団体口座から500万円超

 

 楢葉町の元職員が町土地改良区など二つの農業団体の口座から多額の現金を横領していた事件で、双葉署は26日午前8時15分ごろ、業務上横領の疑いで秋田県井川町の元楢葉町職員の自称アルバイト従業員の男(47)を逮捕した。

 逮捕容疑は、2020年4月上旬~6月下旬ごろの間、楢葉町産業振興課主任技査の業務として預かり、管理していた農業団体の金融機関の口座から、二十数回にわたり計約523万円を引き出して横領した疑い。同署によると、男は横領した金をギャンブルなどに使ったという。21年8月下旬、自首したことで事件を認知した。同署は男がほかにも現金を横領していたとみて調べている。

 男を巡っては、町が21年9月8日付で懲戒免職処分とした。町と町土地改良区も現金引き出しの事実を確認し、同年12月に同署へ刑事告訴していた。

 町土地改良区と町が男に損害賠償を求めた訴訟で、地裁いわき支部は22年4月、請求通り男に約4187万円を支払うよう命じている。

 町によると、男は19年4月に社会人枠で採用。町土地改良区と、農地管理などを担う地元農家でつくる任意団体の会計業務を含む事務を兼務し、口座を1人で管理していた。

 楢葉町の松本幸英町長は26日、元職員の逮捕を受け「町民の皆さまに心からおわび申し上げる。信頼回復に向けて、引き続き職員一丸となって誠心誠意、職務を遂行していく」とのコメントを発表した。男に賠償金の速やかな支払いを求める考えも示した。