「幻の淡水貝」磐梯で発見 会津地方で145年ぶり確認

 
最初に発見した4個のカワシンジュガイ=昨年5月、磐梯町(今野さん提供)

 幻の淡水二枚貝と呼ばれる絶滅危惧種「カワシンジュガイ」が、磐梯町の水路で見つかったことが26日、分かった。県内でも珍しく、会津地方では145年ぶりの発見になるという。発見者で、自然保護活動などを行うNPO法人おーでらす代表理事の今野万里子さん(48)=磐梯町=は「生息環境の保全に向けた保護活動に力を入れ、町の天然記念物指定を目指していく」と話す。

 カワシンジュガイは北半球を中心に生息し、国内では北海道と本州で生息が確認されているが、水辺環境の悪化で世界的に数が減り絶滅が危惧されている。環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧1B類、県のレッドリストでは絶滅危惧1A類に指定。昨年からは捕獲や譲渡が禁じられる国内希少野生動植物種(希少種)にも指定された。

 国内で初めて発見されたのが1877年で、ドイツの地理学者が会津産を報告している。正確な場所は不明だが、磐梯町に近い場所で採取したとされる。しかし、それ以降、会津地方で調査がされておらず、環境の変化もあって絶滅したと考えられていた。

 今野さんは昨年5月、磐梯町の幅60センチ、水深20センチほどの水路で、大型2個と小型2個の二枚貝を発見した。「珍しい貝だな」と思い、水生生物に詳しい阿武隈淡水動物研究会の稲葉修さんに調査を依頼すると、カワシンジュガイだと判明。周辺の調査から計23個を発見し、最も大きいものは殻長118ミリ、殻高55ミリだった。年間1~6ミリの大きさで成長していくため、いずれも40~80年は生息していたと推定される。詳しい発見場所については、密漁を防ぐために公表していない。

 住民向け説明会が26日、町中央公民館で開かれ、今野さんが発見の経緯を説明した。環境省の希少野生動植物種保存推進員などを務める内藤順一さんがカワシンジュガイの生態や保全活動の先進的な取り組みなどについて講演した。

 今野さんは「生息環境の保全や繁殖に向けて活動を継続するためには、周辺住民の理解と協力を得ながら規制を設けて保護していくことも重要となる。水がきれいな場所にしか生息できないため、将来的には町の水環境のPRにもつなげていきたい」と話している。(伊藤雅将)