富岡「特定帰還」計画策定へ 集落部分、面的な除染を要望方針

 

 富岡町の山本育男町長は27日、町内で帰還困難区域となっている小良ケ浜・深谷の両地区について「一日でも早く安心して戻ることができるような環境を整える」と述べ、避難指示解除の範囲を定める「特定帰還居住区域復興再生計画」の策定に着手する考えを示した。避難指示解除の時期を可能な限り前倒し、地区の集落部分は原則として面的な除染を求める方向で政府と調整を進める。

 郡山市で同日開かれた、両地区の住民対象の意見交換会で示した。帰還困難区域を巡っては、政府が福島復興再生特別措置法を改正し、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域に「特定帰還居住区域」を設け、除染から避難指示解除につなげる制度を創設した。

 特定帰還居住区域の範囲は、帰還の意向を示した住民の宅地などを中心に自治体が復興再生計画で定めることになっている。

 富岡町は、25~27日に県内3カ所で開いた意見交換会で、両地区の住民の間で「地区の全域を除染してほしい」という要望が強いことを確認した。

 このため、今後策定する計画では、意向調査で帰還の意思を示した85世帯の家屋や農地などを中心に可能な限り面的な区域設定を目指す。

 政府は「特定帰還居住区域」について、来年度から順次除染を開始するとしているが、具体的な解除期日は「2020年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるよう」と方針を掲げるにとどまっている。富岡町は、除染とインフラ復旧の状況を見定めた「実現可能で早期」の避難指示解除を訴える方針だ。