5月「伝統の形に近い」 野馬追日程...猛暑・梅雨・農繁期回避

 

 厳しい暑さが懸案だった相馬野馬追を巡り「5月最終土、日、月曜日」へと日程を変更する案が決まった。27日の検討会終了後、立谷秀清相馬市長は「これが最大公約数だ」との見解を示した。見直しを巡っては、五つの案の中から猛暑や梅雨、農繁期を避けるなど、さまざまな観点で結論を導いた形だ。5月最終週の開催が実現した場合、来年の野馬追まで残り9カ月となり、執行委員会には文化庁との調整や新日程の周知が急がれる。

 事務局が示した新日程案は▽5月最終週▽その前週▽その前々週▽6月第1週▽6月第2週―の五つだった。いずれも土、日、月曜日開催が前提だ。

 このうち、5月前半は田植えの時期に当たるとして選択肢から外れ、5月最終週案が有力になった。一方で「6月第1週」案も複数の委員が推した。ただ、6月は梅雨時期で、6月第2週に岩手県の馬の伝統行事「チャグチャグ馬コ」が開催されることなどから、賛同者が少なかったという。

 門馬和夫南相馬市長は記者会見で「5月と6月とでは異なってくる」と語り、より涼しい5月最終週案に賛同する考えを示した。

 野馬追は江戸時代には旧暦5月中(なか)の申(さる)に開催されていた。5月開催に移行すれば、より伝統の形に近づくとの見方もある。検討会の出席者は「日程変更によって国の重要無形民俗文化財指定が取り消されるようなことがあってはならない。(古式に近い)5月開催がベターだ」と指摘する。文化庁との調整に向け、関係者は「11月までに了承を得られなければ来年の開催が危うくなる。行政の迅速な対応を求めたい」と話した。